「EASアートキャラバン」―対話による美術鑑賞レポート
 去る、2012 年2 月5 日(日)、ホテル福島グリーンパレス(瑞光の間)にて行われた、EASアートキャラバンに参加しました。

この活動は、東日本大震災の災害支援活動として実施されました。

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主旨は、「芸術に親しむひとときを、飯舘村から避難されている皆さまに提供いたします。参加者と一緒におしゃべりをしながら、見て、触って、感じ取って、制作も出来る。そんな時間を共有して頂きます。」
(EAS:HPより抜粋)

 
 東京駅から新幹線で福島に向かいます。福島駅を降りるとさすがに気温が低く、雪も積っていました。会場はホテルの一室をお借りしての実施です。昼食をすませ、作品を設置します。

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14時になり、参加する子どもたちが部屋に入ってきました。会場に入るとすぐに会場に設置されている作品の前に立ち、話をしはじめました。


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初めの作品の鑑賞の様子。少し意見がでにくく、緊張している様子。


アメリア・アレナス(以下A・A)の「次の作品を見に行こう」の呼び掛けで次の作品に…


A・A「靴を脱いでいいよ。上を歩いてもいいよ。みんな入っていいよ。」

―子どもたちは一斉に作品にダイヴ!!!

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A・A「ぐるっとまわりにすわりましょう!作品をみてください。何が見えますか?」

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子ども「バシャーンっていうしぶき」

A・A「ほかのところは?」

子ども「どれもぜんぶまるい!」

子ども「これやまにみえる!!」

子ども「ここはおおかみにみえる!!」

子ども「ここ、ひつじだ!」

子ども「ここもやまのかたち」

子ども「こっちとこっちひつじにみえる!!」

子ども「ほんとだ!ここが耳でここが体じゃない?」

子ども「きょうりゅうにもみえる!!」

子ども「へびだ!!」

子ども「ここは?らいおん?」

子ども「しゃぼんだま!!」

子ども「わかめ!!」

子ども「水がはねている!!」

―子どもどうしが次々に形をみたてていく

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A・A「私にも教えてくれる??」

子ども「ここが、くらげにみえる!」

子ども「脳みそ!!」

子ども「みずのうえにみえる!」

子ども「(水の)なかからぶくぶくやっているようにみえる!」

子ども「水をばしゃばしゃばしゃーっザバーってやっている」


A・A「グレイト!実は、この作品をつくった人がこの中にいます。」

A・A「この作品は石を水の上から落として写真を撮っています。」

A・A「ここにあるのは水のはねているもの、ここに見える茶色のものは水面に映っている木や葉の色です。」

子ども「じゃあ、これは太陽の光?」

―ハイライトの部分を指さして子どもが答える。

A・A「そうそう!ベリーグッド!!」

子ども「これも太陽じゃね?明るい!」

子ども「うわぁ!太陽がいっぱいだ」

子ども「なんだこの線??」

―作品の細部や明暗に気づき、意見を交わし始める

子ども「線つなぎこれ?」

子ども「このせんはなんだろう?いっぱい線があるね!」

―波紋の小さな波に注目する

子ども「ドラゴンの爪の跡だよ!」

―この見方に一同驚く。

子ども「このポツポツはなに?」

―沢山の小さな波紋に注目する

子ども「お団子??」

A・A「川の写真とかをみるときにはだいたい水平線があって空があって川だとわかるけれど、こういう風に水を真上から撮るといろんな羊やオオカミやドラゴンのつめのあととかいろんな動物がみえますね。」

子ども「…カタチがみえる」

A・A「さあ、だれがこの写真を撮ったでしょうか?」

―私を含めた数名の大人が並ぶ

子ども「うーん…」

子ども「この人!」

―私を指さす。

A・A「当たり!どうしてわかったの??」

子ども「おおきなカメラもってるもん!!」

A・A「このひともカメラ持っているよ。」

―私の隣の人を指す。

子ども「だって(カメラ)小さいもん!カメラ大きくないとおっきい写真は出てこないもん!!」


A・A「では、作家を呼んでくるので質問して下さい!」


私「こんにちは!何か質問はありますか?」

子ども「どうやって撮りましたか?」

子ども「どうして撮りましたか?」

私「どうやって撮ったかから答えます。水面の上から石を落して撮りました。」

子ども「水はかかりませんでしたか」

私「かかりました。すごくかかりました。」

子ども「海でとったのですか?」

私「川です。」

子ども「この小さいものは何ですか?(鑑賞の中でポツポツと言っていたものを指さして)」

私「一つの石を落とすと水しぶきが出来てそれで出来たものです。」



子ども「どうして撮りましたか」

私「川に太陽が反射していてそこに石を投げたらどうなるかなと思って投げました。」

子ども「うん、そういうのはなかなか撮れないもんね。」

私「川はただ流れているだけなんだけど石を投げると自分がそこにいるなって感じになると思って撮りました。」

子ども「自分がばしゃって(水の中に)入ったみたいになるもんね。」


約15分の鑑賞が終わった。

子どもたちは、自分が撮影している状況を想像しながら質問をしてくれた。撮影中に水がかからないかとか、なかなか多様が反射している状況は無いよねとか

それから水面を飛び跳ねる石遊びで5回石が水面を跳ねていったことについても語ってくれた。

「自分がばしゃってはいったみたいになるもんね。」という、最後の子どもの言葉は、私が夢中になって撮影しているときに思った実感そのものであった。


その後、木下晋さんの作品を鑑賞

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「宇宙人みたい!」

「わたあめみたい!」

「顔がない!」

「歯がある!」

「つめがある!」

「手をこうやってしている!(祈る手の様な動作をしながら)」

といった言葉が交わされた後、木下さんが作品について語る。
病気の事、目を摘出してしまったこと、鼻がなくなってしまったこと、入れ歯を入れていること、この人は震災にあった人の事を思って合掌しているところを描いたこと、目が見えないことを表すために背景を黒にした、等を伝えた。

「大変な病気になってしまったんだね」

「すごく大変な思いをしたんだな」

「目をとるのは痛かっただろうね」

といった言葉が子どもたちから出た。



その後も様々な作品を鑑賞した。

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16時になり企画者の藤島祥枝さんより挨拶がありました。

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子どもたちは活発に意見を出し、大人たちを驚かせた。

被災の件もあり、うまく子どもたちと向き合う事が出来るのか心配であったが、そんな心配は作品を鑑賞していく中で感じた子どもたちのパワーにかき消された。

前述した今回の趣旨である

「芸術に親しむひとときを、飯舘村から避難されている皆さまに提供いたします。参加者と一緒におしゃべりをしながら、見て、触って、感じ取って、制作も出来る。そんな時間を共有して頂きます。」

といったEASの願いを少しでも実現できたのなら嬉しく思います。


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災害支援活動:芸術に親しむ
対話による美術鑑賞

アートキャラバン

日時:2012 年2 月5 日(日) 14 時~16 時

場所:ホテル福島グリーンパレス 瑞光の間


■ 主 催:NPO 法人エコロジー・アーキスケープ
■ 協 賛:株式会社ラッシュ・ジャパン
■ 協 力:株式会社ブックエンド/株式会社アールアンテル
      ホテル福島グリーンパレス



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『またたき』 1974mm×2896mm インクジェット出力
(c)2004 浅見俊哉

「またたき」は床面に展示され、鑑賞者はその上に乗って鑑賞することもできる。
2006年7月21日~8月20日まで岡山県立美術館で開催された「Mite!おかやま」に出品後、2008年より「ひろがるまたたきプロジェクト」として、全国各地で展開。






●関連リンク

・「またたき」プロジェクト
http://asaworks.exblog.jp/i13

これまでの『またたき』の展示の様子

・2006年『Mite!おかやま―岡山県立美術館』
http://asaworks.exblog.jp/7561726/

・2006年『浅見俊哉作品展―川越市立美術館』
http://asaworks.exblog.jp/6845073/

・2008年『長野県東御市梅野記念絵画館展示』
http://asaworks.exblog.jp/9331457/

・2009年『アメリア・アレナスの対話型美術鑑賞ワークショップ in芝の家』
http://asaworks.exblog.jp/9389755/
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by shunya-asami | 2012-02-10 23:24 | 『またたき』プロジェクト | Trackback | Comments(0)
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