かがわ・山なみ芸術祭2016 綾川町エリア  作品ナビゲーター養成対話型鑑賞レクチャ
かがわ・山なみ芸術祭2016 綾川町エリア 

作品ナビゲーター養成対話型鑑賞レクチャー

2016.2.20 @MONOHOUSE(旧枌所小学校) 3F 教室

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このレクチャーは、「かがわ・山なみ芸術祭2016」綾川町エリアで作品ナビゲーターとして芸術祭期間中にゲストに対し、出品作品をナビゲートする「作品ナビゲーター」養成を目的として行われた。地域の人達がゲストに対し、参加作家の作品をナビゲートする事で地域の方々の主体的な芸術祭への参加の機会を目的としている。またゲストの方が、ただ出品作品を観るだけでなく、地域の方々と触れ合い対話をする場の創造にもつながると考えている。



A:浅見
S:かがわ・山なみ芸術祭2016地域説明会に参加した方


A:今日はこの作品を観ていきます。
A:はじめに作品のまわりをぐるっとゆっくり2周まわってください。
A:もっとゆっくりでいいですよ


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A:元の場所に戻りましたね、では、座ってください。
A:作品をすこしじっくりみてみましょう。

(約1分の時間作品をじっくりみる)



A:作品を皆で観るにあたって、3つの約束事があります。
1つめは、大きな声で話して下さい。
2つ目は、短く話して下さい。
3つ目は、人の意見をじっくりと聴いてください。

それでは、はじめます。

A:これは何でしょう?

S1:(手を挙げて)ぽちゃん!という音だと思います。

A:面白いですね!音が聞えたのですね。どのあたりから聞こえましたか?

S1:(指をさして)このあたりから聞こえてきました。

A:ありがとう!他にありますか?

S2:はい!鳴門の渦に見えます。

A:鳴門の渦、、、ああ!有名な渦潮ですね。どのあたりにそれを感じましたか?

S2:全体から、橋の上からみたような気分です。

A:いいですね。他にありますか?

S3:雨が降った時ののきしたの水たまりに落ちる滴のように感じました。昔は今の様に雨樋がなかったから、雨になると屋根から沢山の滴が落ちていたのよ。

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A:おもしろいですね!屋根から並んで滴が落ちて、今見ている作品みたいに(波紋が)並んでいたようにみえたのでしょうね。他にありますか?

S4:音の様に感じました。1つの写真にひとつの音があるような、そのひとつひとつの音を並べて全体がまとまっているように感じます。そう考えると、並べ方は、これの他にもいくつかあるようにもおもいました。

A:すごく面白いです!先ほどでた「ぽちゃん!」という意見と似ていますね。様々な音が組み合わさって、、、そう考えるとひとつの楽譜のようにも感じられますね。他にありますか?

S5:冷たさを感じます。

A:面白いですね!どのあたりからそう感じましたか?

S5:(波紋の場所を指さして)このあたりです。氷のようにもみえて、、、時間が止まっている様です。

A:とてもおもしろいですね!時間が止まっていて氷の様にみえて、冷たさを感じるのですね。先ほど音の話がありましたが、耳でなく手でふれた意見も出ました。他にありますか?

S6:深さを感じました。上に乗ったら吸い込まれてしまいそうな、、、

A:おもしろい意見です!どのあたりからそう感じますか?

S6:(色が濃い波紋を指さして)ここからです。他のもの(波紋)と色が違い、濃いからです。

A:色の違いから深さを感じたのですね。とてもおもしろい意見ですね。



A:それでは、この作品は上に乗って観ることができます。スリッパを脱いで作品の上に上がってみてください。

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(一同スリッパを脱いで作品の上にあがる)

S7:宇宙にも感じるなぁ
S8:高所恐怖症だから怖いわ。。。

A:はい、それでは元の場所に戻って座ってください。意見はありますか?

S2:広がりを感じました。

A:広がり?

S2:こっち(作品の外側)からみているときは感じなかったのですが、上に乗ってみると視界全てに作品が広がって広く感じられました。

S7:そうそう私も感じました。宇宙的にも、、、

A:面白い意見ですね。見方を変えてみて新しく感じたことがあったのですね。他にありますか??

S1:大理石でできているように感じました。こっちは木だけど、作品は石の素材で出来ている様に感じます。それに、冷たさも感じます。

A:面白いですね。先に出た冷たさを感じたという意見と似ていますね。床の素材の違いからイメージしたのですね。氷の様だという意見とも重なりますね。他に意見はありますか?

S4:色がモノクロだったらもっと面白いかもしれません。

A:どうしてそう感じましたか?

S4:冷たさは、この色から感じられるのではないかと感じたからです。色の情報を無くしたらどうなるのかなと。

A:とてもおもしろい意見ですね。他にありますか??

(こそこそと仲間内で耳打ちして、)

A:何か意見がありそうですね。

S9:恥ずかしい。これを言ったらみんなに笑われてしまう、、、

A:(作品を観て)感じたことに正解、不正解はありません。皆に教えてくれませんか?

S9:恥ずかしい。そこ、、、(ひとつの波紋を指さして)、顔に見えるんです。

A:ここですか?どんな顔ですか?

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S9:ここが目で、ここが口で、、、笑っている様な顔、二コちゃんマークみたいな、、、

A:面白いですね。(作品の)上に立った時に見えたんですか?

S9:ここに入って来た時からみえました。だから上に乗った時には、ここは踏めないなって。
A:面白いですね!顔を踏む訳にはいかないですからね。

(どっと笑いが起きる)

A:他に意見はありますか??

(こそこそと耳打ちが同じグループで起きる)

A:何か意見がありそうですね、皆に教えてください。

S9:私も(意見を)言ったのだから、あなたもいいなさいよ。

S10:入って来た時からレントゲン写真だなって。思いました。

A:それはどこをみてそう感じましたか?

S10:(波紋を指さして)このあたりからです。

S11:あっ!!私もそう思いました!!妊娠しておなかの写真を撮ってもらった時のレントゲン写真の様です。

A:面白いですね!さきほど、モノクロだとイメージが違って見えるのではないかという意見がありましたが、レントゲン写真はモノクロですよね。

S10:そうそう!(小さめの波紋を指さして)このあたりはまだ(胎児が)小さいかな。
頭はこのあたりかな。

A:すごく面白いです。さきほどの二コちゃんマークに見えたのとも繋がりますね。赤ちゃんが(レンズに近づいてきて)笑っているかのようです。

(どっと笑いが起きる)

A:沢山の意見がでましたね。そろそろ終わりの時間も近付いてきましたが、他に何か意見はありますか?

S11:上に乗る事で浅さを感じました。

A:それはどんな所から感じましたか?

S11:このあたりは小石がみえてとても浅く、水たまりの様だと思いました。水たまりの上に乗ってぴしゃ!!と波紋が広がるような、、、

A:とてもおもしろいですね。先ほどは吸い込まれそうなくらい深くみえるという意見もありました。



S1:そうそう!私はこの光の反射??、太陽が水面に写っているのをみてこっちがわ、水面から太陽までの空間を感じました。

A:面白いですね、写真の中の空間ではなく、こっち側の空間を感じたのですね。

S2:そう!私は、水の中入って、水面を見上げている様にも感じました。

A:視点が様々になってきましたね。先ほどは鳴門の渦を上から見下ろしている視点でしたが、今の意見は渦の中から上を、水面を見る視点ですね。とてもおもしろいです。


A:今日はとても貴重な時間をありがとうございました。皆が積極的に意見を出してくれたことで沢山の見方ができました。
先ず、私たちはこれが写真であることを知って観ています。それが並べられてひとつの作品になっていることも意見の中で出てきました。氷という意見がありましたが、写真は目では見えない形を留めます。それは時間が止まったようで、まるで氷のようです。同時に、渦潮や屋根から滴る水のイメージ。これは水が動いているイメージです。写真によって水の固体の形、そして液体の形をイメージしたことはとても興味深いことです。またその写真たちを並べ、さきほど「1つの音を組み合わせてまとまりをつくっている」という意見がありましたが、そう考えると渦潮、屋根から滴る雨、氷の水の1つの重層的な音のオーケストラの様にも感じられますね。それから深さの話もありました。吸い込まれていくようなまるで鳴門の渦の様なイメージと、雨が降った後にできる水たまりの浅いイメージ。それらも組み合わさってひとつのまとまりが出来ています。

さらに面白かったことは、レントゲン写真と言う意見です。これもとても写真的で現代的な視点ですが、おなかの中の胎児は羊水で守られています。太古、生物は海の中で、つまり水に守られて生まれてきました。一見突飛に感じられ、言うのが躊躇われた「レントゲン写真」という意見は、水のイメージととても深く結びついていることも分かります。そして、羊水の中、笑顔でいるかもしれません。

皆で作品をみることで様々な視点からみることができます。またその意見が重なり、組み合わさることで、同じようなイメージと結びついたり、逆のイメージが同じ作品から感じられることが分かります。氷と水というイメージも逆のイメージとも言えるし、同じ水の形態ととらえれば同じとも言えます。

また、鳴門の渦というのは、埼玉や他の地域で行った(作品鑑賞の)時間では出ない意見でした。地域性と言うか、見てきた他のイメージと照らし合わせながら作品をみていくこともとても興味深いことです。雨樋が無かったころのむかしの屋根から滴る水滴の記憶も、自身の体験から導かれた視点です。皆で作品をみることで生まれる面白さは、この様に様々な視点でひとつの作品をみることが出来る点にあると思います。これでトークを終わります。本日はありがとうございました。





●関連リンク

【アメリア・アレナスによる対話型鑑賞プログラム】

・川越市立美術館 2006
http://asaworks.exblog.jp/6845073/

・岡山県立美術館 2006
http://asaworks.exblog.jp/7561726/

・東御市梅野記念絵画館 2007
http://asaworks.exblog.jp/7765165/

・芝の家 2009
http://asaworks.exblog.jp/16404849/

・ホテルグリーンパレス福島 2012
http://asaworks.exblog.jp/15397682/

【またたきプロジェクト】
http://asaworks.exblog.jp/i13/
                                      
【コンテンポラリーダンスとのコラボレーション】
http://asaworks.exblog.jp/15453752/
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by shunya-asami | 2016-02-21 14:58 | かがわ山なみ芸術祭2016 | Trackback | Comments(0)
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